R1.6.7判決 知財高裁特別部 平成30年(ネ)第10063号「二酸化炭素含有粘性組成物」事件
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1 特許法102条2項の規定における「利益の額」とは、侵害者の侵害品の売上高から、侵害者において侵害品を製造販売することによりその製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額であるとし、控除すべき経費及び推定覆滅事由についても一定の判断基準・考慮事情を示した事例。 2 特許法102条3項の規定において、特許権侵害をした者に対して事後的に定められるべき、実施に対し受けるべき料率は、むしろ、通常の実施料率に比べて自ずと高額になりうることを考慮したうえで、実施に対し受けるべき料率の算定において合理的に総合考慮すべき諸事情等についても示した事例。
H31.3.19判決 知財高裁 平成30年(行ケ)第10036号「IL-17産生の阻害」事件
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引用発明との相違点に係る、「IL-17産生を阻害するための」との用途について、その下流の炎症性疾患(例えば乾癬)に用いられる点では一致しており公知であっても、IL-17濃度の上昇が見られる患者群に対して選択的に利用される点で、新規性がありかつ容易想到でもないと判断された事例。
H30.12.6判決 知財高裁 平成30年(行ケ)第10041号「地殻様組成体の製造方法」事件
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非特許文献である引用文献には、単に下水汚泥焼却灰等の処分に向けた方針、及び有識者の意見が断片的に記載されているにすぎず、ひとまとまりの具体的な技術的思想は記載されていないため、審決が認定した引用発明が記載されているとはいえないと判断された事例。
H31.3.13判決 知財高裁 平成30年(行ケ)第10076号「豆乳発酵飲料及びその製造方法」事件
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明細書からは、4つの相違点に係る構成を組み合わせ、一体のものとして採用したことで、タンパク質成分等の凝集の抑制と共に、酸味が抑制され、後に残る酸味が少なく後味が優れるという効果を奏するものと把握することはできないため、上記の各相違点を1つの相違点として認定することはできず、さらには、官能評価試験の結果は、客観性ないし信頼性を備えた実験結果であると認められない等として、進歩性を否定した審決を維持した事例。
H30.12.20判決 東京地裁 平成28年(ワ)第4759号「導光板」事件
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均等侵害の成否の判断のために発明の本質的部分として従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分を認定するに当たっては、拡大先願発明も参酌すべきものと解するのが相当であるとし、その結果、本件発明の本質的部分が特許請求の範囲の記載とほぼ同義のものとして認定され、被告製品が均等の第1要件を充足しないとされた事例。
H30.12.21判決 東京地裁 平成29年(ワ)第18184号「骨切術用開大器」事件
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進歩性欠如の拒絶理由を解消するために補正で追加した発明特定事項のうち、一部のみが、発明の本質的部分と認定された結果、本件発明に対する被告製品の異なる部分が、当該補正で追加した発明特定事項に含まれているものの、特許発明の本質的部分ではないとして、被告製品は、均等の第1要件を充足すると判断され、さらに、本件発明の特許出願手続きにおいて、当該異なる部分の構成を特許請求の範囲から意識的に除外したと認めることはできないとして、被告製品は、均等の第5要件も充足すると判断された事例。
H30.11.20判決 知財高裁 平成30年(ネ)第10031号「下肢用衣料」事件
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1 特許法102条2項の損害額の推定において、特許権者が当該特許発明を実施していることは要件とはならず、特許権者に、侵害者による特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には、特許法102条2項の適用が認められると解するべき、と判断された事例。 2 特許法102条2項による損害額の推定に基づき侵害者に対し特許権の共有者の一部が損害賠償請求権を行使するに当たっては、同項に基づく損害額の推定は、不実施に係る他の共有者の持分割合による同条3項に基づく実施料相当額の限度で一部覆滅されるとするのが合理的である、と判断された事例。
H31.3.14判決 大阪地裁 平成30年(ワ)第4954号「TeaCoffee」事件
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図形とTeaCoffeeの文字からなる原告登録商標の「TeaCoffee」の部分は原告商標の要部ということはできないとして、原告登録商標「図形+TeaCoffee」と被告標章「TEA COFFEE」は非類似と判断された事例。